安曇野とフォッサマグナ
フォッサマグナは、日本の主要な地溝帯の一つで、地質学においては東北日本と西南日本の境目とされる地帯。
安曇野はこの大地溝帯の中に位置する。
西南日本に当たる飛騨山脈は大部分が5億5,000万年前〜6,500万年前の地層であるのに対し
フォッサマグナにあたる妙高連峰付近は大部分が2,500万年前以降の堆積物や火山噴出物である。
この大きな地質構造の違いは通常の断層の運動などでは到底起こり得ないことで
大規模な地殻変動が関係していることを示している。
原始の日本列島は、現在よりも南北に直線的に存在して、アジアに近い位置にあったと考えられている。
約2,000万年前に、プレートの沈み込みに伴う背弧海盆の形成が始まった。
背弧海盆とは、沈み込んだプレートがマグマとなって上昇し、
海溝の内側のプレートを押し広げてできるものであるが
これによって日本海が現在のように広がり、日本列島もアジアから離れていった。
日本近海の海溝は向きが異なる南海トラフと日本海溝の2つだったため、
日本列島は中央部が真っ二つに折られる形でアジアから離れた。
折れた原始日本列島の間には日本海と太平洋をつなぐ海が広がり、
新生代にあたる数百万年間、砂や泥などが堆積していった。
そして数百万年前、フィリピン海プレートが伊豆半島を伴って
日本列島に接近した時に、真っ二つになっていた列島が圧縮され始めた。
この時、間にあった海が徐々に隆起し、新生代の堆積物は
現在陸地で見られる地層になったと考えられている。
地球の内部構造
薄い地殻の下に上部マントルと下部マントルがあり、中心部の白っぽい部分は核。
プレートは地殻と上部マントルの最上部が一体となった岩板
地球は半径約6,500kmであるが、その内部構造を物質的に分類すると外から順に下記のようになる。
深さ約10km〜30kmまで : 地殻
深さ約670kmまで : 上部マントル
深さ約2,900kmまで : 下部マントル
深さ約5,100kmまで : 外核(外部コア)
中心 : 内核(内部コア)
地殻とマントルは岩石で構成されており、核は金属質である。
マントルを構成する岩石は地震波に対しては固体として振舞うが、長い時間単位で見れば流動性を有する。
その流動性は深さによって著しく変化し、上部マントルの最上部(深さ約100kmまで)は固くてほとんど流れず
約100km〜400kmまでの間は比較的流動性がある。
地殻と上部マントル上端の固い部分を合わせてリソスフェア(岩石圏)と呼び
その下の流動性のある部分をアセノスフェア(岩流圏)と呼んで分類する。
この厚さ約100kmの固いリソスフェアが地表を覆っているわけであるが、リソスフェアは
いくつかの「プレート」という巨大な板に分かれている。
プレートの境界
プレートはその下にあるアセノスフェアの動きに乗っておのおの固有な運動を行っている。
アセノスフェアを含むマントルは定常的に対流しており、一定の場所で上昇・移動・沈降している。
プレートはその動きに乗って移動しているが、プレート境界部では造山運動、
火山、断層、地震等の種々の地殻変動が発生している。
大局的なプレートの運動は、すべて簡単な球面上の幾何学によって表される。
また、局地的なプレート運動は平面上の幾何学でも十分に説明しうる。
3つのプレートが集合する点は、それらを形成するプレート境界の種類(発散型・収束型・トランスフォーム型)
によって16種類に分類されるが、いずれも初等幾何学でその安定性や
移動速度・方向を完全に記述することができる。
一般にプレートの運動は、隣接する2プレート間での相対運動でしか表されない。
しかし、隣接するプレートの相対運動を次々と求めることで、地球上の任意の2プレート間の相対運動を記述することができる。
近年では、準星の観測を応用したVLBIと呼ばれる方法やGPSによって、プレートの絶対運動も理解され始めている。
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